日本科学未来館の特別展「大南極展」に入って最初に現れるのが、「南極上陸エリア」です。
南極大陸の大きさや気温、風速など、南極の基礎知識が紹介され、そのすぐそばには本物の南極の氷が展示されていました。
南極から運ばれてきた本物の氷。
普段の生活では、そんなものを目にする機会はまずありません。
「触ってもいいんだ。」
そう思いながら氷を見ていると、息子が私に声をかけました。
「パパ、氷から音がするよ。」
耳を近づけてみると、
「プチッ」「パチッ」
と、本当に小さな音が聞こえてきます。
最初は、
「どうして氷から音がするんだろう?」
という素朴な疑問でした。
しかし調べてみると、その音の正体は氷の中に閉じ込められた空気でした。
さらに、その空気は何万年も前の地球の大気を知る手がかりにもなっているそうです。
今回は、大南極展で聞いた小さな音をきっかけに、南極の氷がなぜ音を立てるのか、そして氷が「地球のタイムカプセル」と呼ばれる理由について調べてみました。
大南極展で本物の南極の氷に触れてみた
日本科学未来館の大南極展では、展示の最初に南極大陸について紹介するコーナーがあります。

南極の気温や広さ、風速などが分かりやすく紹介され、その横には実際に南極から運ばれてきた氷が展示されていました。

展示には、
「そっと触ってください」
という案内もあります。
本物の南極の氷を触れるだけでも十分珍しい体験ですが、さらに驚いたのが息子の一言でした。
「パパ、氷から音がするよ。」
半信半疑で耳を近づけると、本当に小さな音が聞こえてきます。
その瞬間、
「どうして氷から音がするんだろう?」
という疑問が生まれました。
南極の氷はなぜ音がする?
結論からいうと、南極の氷から聞こえる音は、氷の中に閉じ込められていた空気が外へ飛び出す音です。
南極の氷には、小さな気泡がたくさん閉じ込められています。
展示室で氷が少しずつ溶けると、その気泡を覆っていた氷がなくなり、中の空気が一気に外へ飛び出します。
そのときに、
「プチッ」「パチッ」
という小さな音が聞こえるのです。
流れを簡単にすると、
氷の中に気泡がある
↓
氷が少しずつ溶ける
↓
気泡が開く
↓
閉じ込められていた空気が飛び出す
↓
小さな音が聞こえる
最初は、
「氷の中の空気が出る音なんだ。」
と納得しました。
でも、新たな疑問も生まれます。
「そもそも、どうして氷の中に空気が閉じ込められているんだろう?」
なぜ南極の氷には空気が閉じ込められている?
南極を覆う巨大な氷は、最初から氷だったわけではありません。
始まりは、空から降る雪です。
雪が積もり、その上にまた新しい雪が積もる。
その繰り返しによって、下の雪には大きな圧力がかかります。
すると雪は少しずつ圧縮され、やがて氷へと変わっていきます。
その過程で雪の粒の隙間が閉じると、そこにあった空気も一緒に閉じ込められます。
つまり、氷の中の気泡は人工的に入ったものではなく、雪が氷へ変わる途中で自然に閉じ込められた空気なのです。
流れを整理すると、
雪が降る
↓
雪が積み重なる
↓
下の雪が圧縮される
↓
雪が氷へ変わる
↓
空気が気泡として閉じ込められる
という仕組みになります。
南極の氷には昔の空気が残っている
ここからが、私が一番面白いと思ったところです。
氷の中に閉じ込められた空気は、現在の空気ではありません。
雪が降ったその時代の空気が、そのまま閉じ込められています。
つまり、古い氷ほど昔の大気を保存していることになります。
だから研究者は、その気泡を分析することで、
- 当時の二酸化炭素濃度
- メタン濃度
- 気候の変化
- 過去の地球環境
などを調べています。
南極の氷は、ただ凍った水ではありません。
昔の地球の空気を閉じ込めたタイムカプセルでもあるのです。
アイスコア研究で地球の歴史が分かる
南極では、氷を深く掘ってアイスコアを採取する研究が行われています。
アイスコアは、円柱状に取り出した氷です。
南極では何万年、何十万年もの間、雪が積もり続けています。
そのため、深い場所ほど古い時代の氷になります。
アイスコアを分析することで、研究者は過去の地球環境を詳しく調べています。
現在だけを観測していても分からない、
- 氷期と間氷期の変化
- 温室効果ガスの変化
- 火山噴火の痕跡
- 昔の気候変動
など、多くの情報が読み取れるそうです。
大南極展で見た氷の塊が、地球の歴史を記録した資料でもあることに驚きました。
小さな音の向こうに地球の歴史があった
今回調べ始めたきっかけは、とても小さな出来事でした。
息子の、
「パパ、氷から音がするよ。」
という一言です。
最初は、
「面白い音がするな。」
と思っただけでした。
でも、その理由を調べていくと、
氷の音
↓
気泡
↓
昔の空気
↓
アイスコア
↓
地球の歴史
という、思いもよらないところまで話が広がっていきました。
展示で聞いた小さな音が、地球の過去へ続く入口だったのです。
大南極展には氷以外にも見どころがたくさんあった
今回、一番印象に残ったのは本物の南極の氷でした。
しかし、大南極展にはそれ以外にも興味深い展示が数多くありました。
南極で発見された隕石やブリザード体験、昭和基地での暮らしなど、どれも「知らなかった」が詰まった展示ばかりです。
大南極展全体の見どころについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連記事:日本科学未来館「大南極展」に行ってきた|隕石・南極の氷・ブリザード体験と昭和基地の暮らし
まとめ|南極の氷は「音」が教えてくれるタイムカプセルだった
大南極展で本物の南極の氷を見たとき、私はただ「珍しい氷だな」と思っていました。
でも、その隣で息子が、
「パパ、氷から音がするよ。」
と教えてくれたことで、小さな疑問が生まれました。
調べてみると、その音は氷の中に閉じ込められていた空気が飛び出す音でした。
さらに、その空気は何万年も前の地球の大気を知るための大切な手がかりでもあります。
展示では何気なく聞いていた「プチッ」という音でしたが、その背景には雪が積もり、氷となり、昔の空気を閉じ込めてきた長い歴史がありました。
南極の氷は、ただ冷たい氷ではありません。
地球の過去を閉じ込めた、小さなタイムカプセルでした。
大南極展で聞いたあの小さな音は、私にとって地球の歴史へ興味を持つきっかけになりました。


コメント